Take’s diary

Macとマイコンに関すること--ワクワクの製作日記

SANSUI SP-LE8T

SANSUI SP-LE8Tをオークションで購入

ひょんなきっかけで、LE8Tをレストアしているブログを拝見。20代の記憶が蘇って来る。

ネットオークションで手頃な価格のSANSUI SP-LE8Tを購入した。ボックスはあちこち傷だらけで、底部は厚塗りされている。


ユニットはコーン紙が全体的に黄色に変色(タバコのヤニか?)周囲には黒っぽいマダラ模様がついているが、まだ使えそう。センターアルミキャップは多少の凹みがあるが、遠目では異常なし。気になるのはコーン紙の外周を触ると、ボイスコイルがガサガサ言うこと。

とりあえずエンクロージャー全体にサンダーをかけて、組格子フレームはネットごとアクロンで水洗い。速乾性の着色パテで窪み補修後、オイルステイン(付板部分は茶バッフルは黒)を塗る。

ユニット自体の抵抗値は問題なし。初期ユニット特有のランサロイの白エッジはカチカチ。ブレーキフルードを塗ると良いとのこと。多分前オーナーも表から塗っているらしく、コーン紙周りの黒いマダラ模様はこれが原因か。今回エッジの裏から一度に大量に塗りすぎて縦皺がたくさん.. 逆にふにゃふにゃになってしまう。

コーン紙はダンプ材アクアプラスが吹き付けられているのでかなり硬いことを想像していたが、現状は結構しなやかな感じ。

エッジ軟化処理後コーン紙の外周を触ると、ボイスコイルが相変わらずガサガサ言うが、中央部を押すと問題ないので、音出し。

なかなか良い。中音部が張り出し、コーン紙なのにJBL特有のホーンユニット系のサラサラした音。流石に高音部はフルレンジの宿命で減衰しているが、シンバルは少し重みがあって管楽器も昔聞いたJBLの音色。全く紙くさくない。ピアノは心地いい余韻がある。50年以上も経過したユニットからこんな音が出てくることにしばし感心する。低音もそこそこに出るのでアルニコの磁力減衰に関してもそれほど神経質になる必要もないようだ。

眠っていたトライオードのアンプを繋いでみる

こちらは現代スピーカーで聴くと高音がきつい。たかだか8W。それなのにちょうどいいバランスで20畳の部屋を美音で満たす。

よく聴くとピアノの強音部が歪みっぽい。真空管を外して清掃と接点復活剤を.. だいぶ良くなるが、まだ少し歪みが残る。エッジが柔らかすぎてぶれるためか。

意を決してクロスエッジに交換することにした

白エッジは初期のiPodのようで元々このスピーカーユニットには合っていないと思うので、黒に。ランサロイエッジのフレーム周りを剥がすのは楽勝だがコーン紙に張り付いた古い接着剤を取る時は、コーン紙の薄い裏紙を1枚剥がすような感じでないとうまくいかない。エッジを貼る時にエッジの糊代部分に多少接着剤を被せ気味にして補強。質量アップはこの際無視...。

アルミフレームとセンターキャップのアルミは、金属磨きで何回も擦る。別にペーパーをかけなくともあっという間に新品のようになった。

 ターミナルもケーブルも取り替えたところで私の耳には変わりないと思えるので、現状のまま。取り付けビスも多少汚れを取って。リード線の先端は少し切ってハンダを染み込ませた。

でも、コーン紙の汚れが気になる

白に塗ると色合わせをしても元の質感が出ないと思ったので、アルコールとキッチンペーパーで何回も丹念に軽く擦り上げていく。確実に汚れが取れていく。近くで見ると多少シミが残っているが、成分に含まれるマイカ系の粒がキラキラ光り、独特の品の良いアイボリー色が蘇る。これも少し離れて見ると完璧。

センターキャップ周りの黒い接着剤の色がかなり抜けているので、黒色の変性シリコン系接着剤で補強。被せると多少高音に影響が出ると思えたが結局はあまり問題なかった。ただしコーン紙とキャップにはみ出してあまりうまくいかず、少し時間を置いてカッターの刃先で形を整える。全体的にグッと引き締まって見える。

もう少し高音部を改善したくなった

そうだ、以前修理したしたスピーカーのソフトドームツイターがあったはず。こちらはデンマークSCANSPEAK社製のもの。製造は終了している。フィルムコンデンサーのみで高音の調整。こちらは4Ω 90db で、LE8Tとは音圧がほぼ一緒なので、パラレルで接続してみる。

高音の質が違うのでどうなるかであるが、カットする周波数を下げるとどうしてもソフトドームの音が優先されてLE8Tのあの音が聞こえてこない。結局0.67μFで落ち着く。試聴上はほんのちょい足しの高音でだいぶ高音特性が改善された。

どうせ安値で買ったもの。思い切ってバッフルに穴を開けてTWを設置。なかなかかっこよくなる(取り付けビスが斜めってるのはご愛嬌)。組格子フレームとバッフル間に程よい隙間があるので、TWが多少出ていても当たらない。

組格子フレームを取った状態は、「最初からこんな感じだったのでは!!」といった具合。やはりスピーカーは見た目から入っていくので、シンプルなTWと高級感の漂うLE8Tは見事にマッチした。

今回スピーカーユニット補修に使った材料はエッジ用に水性接着剤と絵の具用の小筆、センターキャップ周りに変性シリコーン接着剤、アルミ部の汚れ取りに「金属みがき」それにクラフト用のカッター。無水エタノールとキッチンペーパー。サンドペーパーは必要なかった。

音出し1日目はやはり本来の音がしない

四日目ぐらいからうーんこれ。前に持っていたJBL4428はこの音が出なかった。4428は現代のスピーカーらしく非常にダンピングが効いた音だったが、中高音が昔聴いたJBLではなかった。LE8Tは重低音もほどほどに出ているのだが全体に自然で軽い雰囲気。ただし置き方による。

今まで聞いたウイーンアコーティクスBeethoben  baby grandと比べると圧倒的な中音域の張り出し。 baby Grandの場合はアンプで中音を上げるとバランス的には近くなり、最低域が充実しているが、さらさらで開放的な音ではない。10年経っても気に入っているが、比べてみるとやはりジャズ向きではなかったようだ。

AppleミュージックのジャズディスカバリーステーションをBGMに。どこかのジャズ喫茶の暗い部屋で、日が斜めに当たるような場所に置いているスピーカーが、さらっとさりげなくなっている雰囲気になる。