T-GRASE フィラメントって聞いたことありますか?
最終的に成功した造形物。結構魅力的。
ガラスのような光沢で透明感のあるフィラメントです。PETボトルの再生フィラメントの一種だそうです。このフィラメントを手に入れたので早々試してみます。
設定温度は標準で212℃〜224℃、ノズルが太いほど透明感が出るとのことなので、ROBOXの太い方のノズルを有効利用するには最適と思い。試してみました。
そもそも。ROBOXには2本のノズルが付いていて(0.3mm,0.8mm)、基本NOMAL出力をしている者としては、現状全く0.8mmノズルを活用していません。これを使うのにうってつけ!!。
ただ、現行のROBOX専用印刷ソフトAutoMakerV2.0.3は、結構バグがあります。自由にフィラメントの温度設定ができない上に、層の厚さを0.6mm以上にすると最下層の固着に0.3mmノズルが使えないばかりかRaft、Brimが全く印刷できません(専用フィラメントは全く問題なし)。この点に関しては、今後のバージョンアップを待つことにします。
このため、最下層がまともにベッド(印刷台)に張り付きません。T-GRASE向きの造形物が全く作成できない!!
しょうがないので、層の厚さを0.5mm設定にしてみると、気泡がたくさん入って透明感が出ない(比較写真参照)。これじゃーなんだかってことで、いつものように試行錯誤してやっと成功しました。最終的なヘッドとスピードの設定は以下の通り。透明にするための設定がターイヘンでした。
層の暑さは0.75mm。充填密度は一応0。ペリメータは1層。トップ、ボトムの層は0にします。モデルは円柱のような物を作って、側だけを印刷するイメージです。底面を2ぐらいにすると当然底も印刷できます。
主要なノズルは0.8mmに設定。押し出し幅は1層目とペリメータを1.2mmにします。ここもバグで、保存しても0.5mmに変更されてしまうので、印刷をする前に絶対に確認する必要あり。
印刷スピードで変更できるところは、全てT-GRASE推奨の8mm/sにする。
フィラメントは搭載フィラメントの検出のチェックを外して、ABSフィラメントを設定にして、
左の材料選択部分をABSとする。(CO-PET他4種類の材料が選択できますがABSが最良。ABSの溶解温度が235度となりT-Graseの上限となりますが、ROBOXにジャストフィット)このフィラメントはものすごく温度に敏感で、少しでも違う環境になると、気泡が無数に入り透明度が全くなくなります。ROBOXの場合はABSのCrystal Clearである必要があるようです。この設定では同じABSでも印刷台とノズルの温度設定が10度程度低くなります。それでも室内温度によって気泡の入り方が全く違います。庫内温度をなるべく下げる必要があるようです。印刷中気泡が目立つようになったら、本体一時停止ボタンを押して1分程度放置して多少冷やしてから再開すると、なぜか気泡がなくなります。昨日までうまくいっていたのに、気温の高い今日がダメだということは、庫内環境に敏感だということか?。このフィラメント手強くて面白い。
今回のフィラメント設置には、前にブロンズフィラメントを使って大失敗した時に作ったフィラメント台を有効利用。
層厚は、0.8mm前後にすると良いみたい。ベッドに押しつけないで、材料を柔らかめにして、表現が悪いですが垂れ流しみたいに造形させる。ベッドにノンオイルのヘアスプレーを吹きかけると完璧に張り付きました。
層の厚さの違いによるプリントの比較は、以下の写真。
一番左から層厚0.5、0,6、0,85mmです。最終的に0.75mmに落ち着きました。これだと最下層(ボトム)の平面もなんとか剥がれないでプリントできました。
層が厚くなるとさすがに綺麗です。スンバラシイ。魅力的な光沢が出ます。造形物は、サポートを必要としないなだらかな曲線を使う円筒形のものが良さそう(今回の設定では、細かさを追求する造形には全く向きません)。一般的なフィラメントでは気になる、層の段差を逆手に取った作品が向きそうです。ちなみにこのフィラメントと印刷設定の特性を生かした小物がこれ。イヤリングだそうですが、なかなかのものができました。ガラスの質感です。ノーマル印刷では表面の凸凹が鋭利になってしまいますが、今回の設定では作品の味になります。
でもPLAの透明でもこの設定なら....。
と思って、比較してみました。左側がPLA、右がT-GRASE。全く違うでしょ。透明のPLAもかなり健闘していますが、艶と透明度それに表面反射の質がGrase!!。T-GRASEにこだわらないで0.8mmノズルは他の有色フィラメントでも面白い作品ができそうです。
他のカットを少し紹介。
T-GRASEフィラメントは、他にグリーンとダークグレーがあります。ペリメータの数を2〜3にすると厚みのある魅力的な作品ができそうです。
4月29日追記
この後色々試したのですが、どうしてもたくさん気泡が入って透明ではなくなります(層厚0.85mmにしても上記写真の層厚0.5mmにした感じ)。良く見るとちょうど水が沸騰するように、ノズルから出てきた瞬間、小さな泡が膨張して気泡だらけになってしまいます。環境温度の違いだと思ってたのですが、ノズルの温度設定が高すぎるような.....。
問題は違うところでした。プリントプロフィールで新しい設定をする時、エクストルージョンで層の高さを変更すると、次のタブ設定「2つのノズル」の押し出し巾が1.2mmから0.5mmに勝手に戻ってしまうことでした。設定を保存する場合は「2つのノズル」タブを開いた状態にして押し出し幅を確認してからの方が良さそう。
多分押し出し巾を小さく設定すると、エクストルーターがフィラメントの押し出し圧力を調整するため、高速に押したり引いたりして、高周期の振動が生まれ、ノズルの先端で気泡が入ってしまうのでしょう。太い方のノズルが影響を受けるようです。この現象はPLAやABSでは全く起こりません。T-GRASEは特に敏感のようです。結局フィラメントプロフィールは上記設定。フィラメントは、若干低め温度設定となるClear CO-PETに落ち着きました。この設定だと、ABSより印刷開始時間が早くなります。
この設定で、
ここのページと質感が全く同じのものができました。しばらくハマリそう。